恋愛体質だからこそ、恋人を作らない – 「天職」風俗で得た恋愛観:現役風俗嬢・セクシー女優 今賀はるさん

こんなお話しです

恋愛体質で惚れっぽくて、そのせいでいつも誰かに縛られている。
それに悩む人は、どうしたら自由になれるのでしょうか?
現役で風俗嬢として働き、他にもポールダンス、SMショー、AV出演などをこなす「今賀はる」さんに、
「自由な恋愛」をするための考え方をお聞きしました。

プロフィール

今賀はる・現役風俗嬢・セクシー女優
・風俗店「手コキ研究会」を全面プロデュース
・性感染症に関する学会への参加、スタッフへの指導を中心に
 自身もキャストとして現場で活躍中
目次

恋愛体質だからこそ、恋人を作らない – 「天職」風俗で得た恋愛観:現役風俗嬢・セクシー女優 今賀はるさん

風俗が天職?!: 栄養士志望が一転

私は名古屋の大学で栄養学を勉強して、管理栄養士の資格を取りました。そのまま研究職に就きたくて大学院に進学したんですが、一度は普通に就職しようと思って東京で就活を始めたんですね。で、東京に滞在するのにもお金が掛かるわけですが、もう大学院いってる時点でだいぶ親のスネかじってるし、自分で稼ぎたいなと思ったんです。それで、サクッと稼げるのと、ちょっと興味もあったので、初めて風俗で仕事をしました。それがSMクラブのM嬢だったんですが(笑)

なんでSMクラブを選んだかというと、ネットで調べてお店に応募しようにも、ソープとかピンサロとか言われても、そういう用語とかの意味がわからなかったから(笑) SMだったら意味わかる!ということで入ってみました。で、風俗のお店とか会社って怖いイメージがあるじゃないですか。「下手したら反社かも」と思って覚悟していったんですが・・それが全然そんなことなくて、健全な会社だったんですね。バイトしてる男の人たちも怖いのかなと思ったけど、めっちゃ優しくてゆるいし、女の子たちもお客さんも普通だし、拍子抜けしました。もちろんSMクラブで私がM嬢なので、来るお客さんはS設定なんですが、ある程度お金に余裕のある年配の方が来ていて、基本的に優しいんですよね。お店もちゃんとしていて、切ったり刺したりみたいなハードなものはそもそもNGで、店長さんからも、危険なプレイのラインの見極めみたいなのも教えてくれて、安心して仕事ができました。

で、もう忘れてるかも知れませんが、これ就活のためにやってるんで(笑)待機室でエントリーシートを書きまくってました。それが許される雰囲気も居心地が良かったですね。このSMクラブでの経験で、私の中では風俗業界のイメージがかなり良くなりました。

会社員と風俗嬢を掛け持ち: あっさり周囲の理解を得られた

それから、めでたく就活が実って、食品系の会社に就職しました。そこは飲食店もやっていて、まずは店舗に配属されてカフェに配属されてたんですが、例のSMクラブにも在籍しっぱなしだったんですね。コンスタントに出勤しなくて良くて、ちょこちょこ出るのでも全然OKって感じだったのと、楽しかったので。

入社から半年くらい経った時、腕利きのスカウトさんと知り合いました。原宿で声をかけられて、普段はそういうスカウトさんって無視したりするじゃないですか。でも、彼はビシッとスーツを着て、丁寧な言葉づかいで、頭良さそうだったんですよね。元々一般の会社で営業をしてたらしくて、礼儀正しかったので、話しても良いかなと思ったんです。

で、それまではSMのお店しか知らなかったので、そのスカウトさんに色々聞いてみたら、「ソープは王道だから行ったほうが良いですよ。」「AVも楽しいですよ!」とか教えてくれて、彼の紹介でどっちも始めました(笑) なので、そこからは平日は会社員、土日は風俗やAVという生活がしばらく続きました。

会社の人たちには風俗のことをどうしていたのかというと、上司がちょっと年上の女性で、仲が良かったので、風俗でバイトしている話も普通にしていました。彼女の反応としては「いいね!会社にバレなきゃおっけー!☆」みたいな感じでした(笑) それどころか、10人以上いたチームメンバー全員にも知らせていたんですが、みんな理解のある人達で、、会社員と風俗嬢の両方のことを知ってくれている人たちが居て、楽でしたね。

なので、会社に対する不満は特になかったです。食品ロスが多いとか、急激な成長は見込めなそうとか以外は(笑)。ただ、ここだけで頑張っていても、将来的に自分が思い描くような生活はできないかなと思って、独立したいと考えるようになりました。上司からも「変に役職就くとやめにくくなるよ〜☆」と背中を押してもらえました。

その会社では全部で9ヶ月お仕事をさせてもらったんですが、独立することにしました。管理栄養士としての独立も考えたんですが、性とか性教育の方が興味が強くなっていたので、そちらでの独立を決意したんです。

「本気の風俗嬢」として: 47都道府県巡りと学会への参加

独立してからは、猛然と仕事をしました。ソープ、SMクラブ、AVに加えて、デリヘルも始めて。朝6時からお昼すぎまでソープ、少し休憩して夕方からデリヘル、土日はSMやAV。しかも東京に住んでからクラブ遊びも楽しくて、仕事の後に遊びに行っちゃったり、そこでナンパしてきた人とハプバーに行ったり。今考えると、ホントすごい体力でしたね。ちなみに風俗って夜のイメージありますけど、私は朝型なんです(笑) なので仕事は日中。夜はクラブみたいに立ってれば大丈夫だけど、お仕事すると眠くなっちゃうんですよね。一度メンズエステでも働いたんですが、夜11時から朝までとか・・人のマッサージしながらでも眠くなっちゃって、すぐにやめました。

それから、2年くらいかけて47都道府県巡りをしました。知り合いの同業のお姉さんが、旅費を旅先の風俗で稼ぐというのをやっていて、私もやってみよう!と思ったのがキッカケでした。そのお姉さんは行きたいところ行った時にやるという感じですが、私はどうせなら全国制覇してやろうと(笑)その頃には、大抵の風俗店の形態は経験済みだったので、どこのお店もすんなり入って仕事ができましたね。そこから、東京を拠点に、数県回ったら帰って来て・・というのを繰り返しました。

その旅行は当然1人で行くわけですが、ひとつ面白かったのが、旅先の温泉旅館とかで、よく女将さんやスタッフの人が必要以上に優しくしてくれるんですよね。女の一人旅だから、傷心旅行なんじゃないかとか、もしかしたら自殺しちゃうんじゃないかとか思うらしくて(笑) でも、これで全国を回ってネタができたので、どこ出身のお客さんでも、お話しが盛り上がるようになりましたね。

それから、私は性教育の勉強もしたかったので、大学が開催している、一般の人も参加できるような学会に参加しに全国各地に行きました。HIVを中心に性感染症やその治療の話とかですね。これはお店の運営、スタッフの指導でお仕事にも直結するし、ちょっと大げさに言うと風俗業界の健全化にもつながるかなと考えています。

そのうち、ご縁があってある会社の五反田店のプロデュースを任されました。私はこのお店に専念するために、9年も在籍していたSMクラブは正式に退職して、一生懸命取り組みました。お店は「手コキ研究会」という名前なんですが(笑)性感染症のリスクが低くて、スタッフの女の子を大事にして、且つお客さんに非日常を体験してもらえるお店づくりをしています。おかげさまで常連さんも付いていただけて、今日もみんな元気に楽しくやっています。

恋愛経験: 「彼氏」はみんな風俗やめて欲しい?

これまでに、正式に彼氏と思ってお付き合いした人は3人いました。

1人目は大学生の4年間でお付き合いした方。大学院に行くために引っ越して、その先で好きな人ができたので別れました。遠距離なので黙ってても良かったんですが、当時はピュアでしたね(笑) ただ、その好きになった人へは片思いで終わりました。

2人目は院生時代に参加した学会で出会って1年お付き合いした方。マジメな人で、私はその頃キャバでバイトしてたんですが、それが嫌だったみたいです。というか、キャバどころかそのタイミングでSMクラブも始めていたんですが、流石にそれは言えませんでしたね(笑) で、今度は就活中に出会ってセフレになった方と好きになっちゃって、終わり。しかもやっぱりそのセフレさんとはお付き合いせずでした(笑)

3人目はハプバーで知り合った方で、なんかそれっぽい雰囲気になって1年半付き合ったんですが、この時は仕事のこととか全て話していて、それをわかった上で付き合ってくれてました。それでも、やっぱり彼はやめて欲しかったみたいで、事あるごとにやめるように圧を掛けてくる感じでしたね。。私は生業として、好きでやってるわけで、「風俗やめろ」っていう権限は彼氏であっても無いと考えてます。「その稼ぎがなくても俺が面倒見る!」くらいの気合があればちょっとは違うかもですが。。

恋愛体質だからこそ、恋人を作らない

それ以降は、「彼氏」としてお付き合いした人は居ないです。でも、好きになった人が居ないわけではないんです。むしろ私は恋愛体質で、好きになることは結構あるんです。初対面の人とちょっと会って話しただけでも、もう好きになっちゃうくらい。私は多分バイセクシャルなので、男性も女性も好きになるんですが、どっちかというと男性のことを好きになることが多いですね。でも最近は、それを打ち明けずに片思いで終わるというか、終わらせています。

私自身が飽きっぽいとか、結婚願望がなくてお付き合いも求めていないというのがあるのと、どっちかというと誰かと恋愛関係ですごく近い存在になるより、みんなで仲良くなってその中に一緒にいたいという考えがあるんですよね。誰かに「好き」って言った瞬間に、その相手の態度が豹変して「俺の女」感が出ちゃったり、変にロマンチックになるじゃないですか。そうすると、「付き合ってるからこの人としかセックスしちゃいけない」とか、風俗についてとやかく言われたりとか、、縛られずに、自由にしていたいんです。

だから、恋人の関係にはならないんです。無駄に相手の心をかき乱す必要は無いなと。私は基本的に、私が好きな人が他の女の人と遊んでいても気にしないし、私と一緒に居ない間にどう過ごすかは勝手だと思ってるんです。もちろん、私の目の前で他の子や芸能人を「かわいいよね」とか言ってくるのは嫌ですけどね。私の前で言う必要ある?そんなん言うくらいなら、もうその子連れてきて3Pしようよ!(笑)

一定の期間を切り取ってみると、確かにその時にこの人が一番好きというのはあるんですけど、他の人とセックスしないわけじゃない。でも、その好きな人と同じレベルの恋愛感情を他の人に持つことも無いんですよね。それに、恋人という関係になると自分の方にも期待値が出てきて、例えば相手が自分よりも優先する用事とかがあると、「うーん」ってなるんですよね。やっぱり少しは独占欲が出てくる。

だから、たぶん私は完全なポリアモリーではなくて、多対多というよりは一対一がそれぞれ楽しんだら良い、色んな形があって、性別問わず全体として仲の良い人間関係を大事にして、その中でセックスしたりしなかったりしても良いし、ただその中で誰か一人と深い中にならなくて良いという考え方でいるんだと思います。

目の前の人を大事に: 型にとらわれなくて良い

風俗業界を本気でやるようになって、性教育的なことも考えたりする中で、型にとらわれなくても良いじゃないかと考えるようになりました。セックスに対する垣根がめちゃくちゃ低くなったことで、一般常識なら「好きだからセックスしたくなった」だけど、恋愛抜きでただやりたいだけというのもあるよね、それも別に良いよね、と思います。これは、今の私の考え方にも大きく影響していますね。

私も、今の考え方が未来永劫変わらないとは思いませんが、今は、まず目の前の人達と良い関係を築いていくことを大事にしています。その中でも、「あ、この人好き」ってなることはとても頻繁にあるんです。ほんと恋愛体質なんですよね(笑) でも、その人に執着するよりも、オープンな関係で居たほうが、その「大事にする」をちゃんとできるように感じています。

ちなみに「いつまで風俗でやっていくの?」と聞かれることもあるんですが、私はずっと「今賀はる」でやっていきたいと考えています。この業界って、そもそも人の入れ替わりは激しいです。やめていく理由は、目標にしてたお金が溜まったとか、結婚するとか、仕事が見つかったとか、いくらでもあるし、多くの人たちはむしろ良識派だったりします(笑) でも、50歳以上とか、なんならおばあちゃんでも現役で働いている人もいるんですよ。例えばSMのスキルがあるとか、テクニックがすごいとか、教えたり支えたりすることなんかもできれば、ずーっとやっていけるんですよね。私の「手コキ研究会」だったら、たとえ車椅子生活になっちゃったとしても手が動けばなんとかなるし!(笑)需要がある限り、続けていきたいですね。この業界でも、中途半端じゃなく、骨を埋める覚悟のある人達は、とってもマジメなんですよ。

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