ミュージシャンのヒモ彼氏を飼っていた話 – 幸せな洗脳と、醒めた瞬間:マリさん(女性・20代前半)

こんなお話しです

超イケメンのミュージシャンと同棲を始めたら、お金を払ってくれなくてヒモ状態に
・それでも私が頑張れば大丈夫!と洗脳状態で状況は益々悪化、しかも彼氏が浮気
・ふとした瞬間に醒めて別れて、これまで払ったお金を取り立てに彼の実家に突撃!

プロフィール

ご本人女性20代前半マリさん
・独身 バンギャ
・彼との同棲を期にまじめな仕事に就く
・しっかり者だけど、気難しいワガママタイプ
お相手男性20代後半・独身 ミュージシャン
・メジャーデビュー、有名TV番組への楽曲提供を経験
・その後、新しいバンドでインディーズから再出発中
・めっちゃイケメン!でもメンヘラ
期間2年6ヶ月
※お付き合い当時の年齢です。
目次

ミュージシャンのヒモ彼氏を飼っていた話 – 幸せな洗脳と、醒めた瞬間:マリさん(女性・20代前半)

出会い: 「遊べる相手」として紹介されて

「私って気難しくてワガママな性格だから、きっと一人で生きて行かないといけない!だから老後の資金を貯めなきゃ!」社会人になったタイミングで、大好きだった彼氏と別れた時にそう思った私は、すぐに老後の資金を貯め始めました。そんな、しっかり人生設計をしてた私なんですが、それでもやっぱり寂しいので、テキトーな彼氏が欲しいなと思っていました。

その頃の私はバンギャと同時に自分もライブ活動をしていて、ある時にライブに来てくれたお客さんと、その日のうちにワンナイトしたんですね。その相手もバンドでギターをやってる人でした。私は結構彼のことを気に入って、ちょくちょく会ったりしてたんですが、その人は私とは完全に遊びって雰囲気で、私もこの人とは付き合えないんだな〜という自覚がありました。で、今度はその人から、その人のバンドのボーカルを紹介されました。で、その彼と二人で飲みに行って、、その時は特に何もなかったんですが、彼が私のことを好きになったみたいで。

それで、彼から告白されました。私はバンギャ歴がそれなりにあるので、「どうせあのギターの人が、私のことを “遊べる女の子” だよ〜て紹介したんでしょ?」って言ったら、彼はそうなんだけど、、と認めつつ、「僕にとっては、君はそういう人じゃないと思ったから、大事にしたいんだ。きちんとお付き合いさせてください。」と。

彼は当時、メジャーデビューしたバンドで有名なTV番組にも楽曲提供などをして実績を積んだ後、それを脱退してインディーズバンドを組んで、新しい活動を始めていました。彼は私より少し年上で、容姿は整っていてめっちゃかっこいいし、歌はうまくて、作詞作曲もできて、ロマンチストで。でも、お金が全然ありませんでした。

私は、またメジャーを目指して頑張って売れるんだと夢を追いかける彼を、応援することにしました。

ヒモ生活の始まり: そのうち何も気にしなくなった

お付き合いを始めて1ヶ月くらい経った時に、一緒に住もうよ、という話になりました。そこで、生活費は当然折半で、例えば家賃はこれくらいで、光熱費はこうで、半分ずつ払おうねと取り決めました。彼は、最初のひと月は払ってくれました。(それでも、敷金礼金とかの初期費用はお金がないから待って、というのはあったんですが。。)で、それ以降は支払いがピタッと止まったんですね。

そこで、当然催促するんですけど、彼は言い訳がとても上手でした。「今、曲作りで精神的に参っているから、お金のことが考えられない」とか、「そんなにきつく言わなくても、、僕も頑張っているのに」とか、私のせいにしたり、しまいには死にたいみたいなことも言い出したり。一応、それっぽい約束を取り付けたりはするんですよ。成功したらいついつまでにお金が入るから、みたいな、割と現実的なラインを話すんですが、いざ「お金入った?」と聞くと、「いや〜・・まだ・・」とかうやむやにされたりして。

私もさすがにおかしいなと思いますけど、催促する度に彼の反応がめんどくさいし、いざとなったら私が頑張ればよいのかなと思って、あんまり気にしていませんでした。ヒモになるような人って、洗脳がすごく上手なんだと思います(笑) 彼との将来については、私が養えば良いと思ってました。それも恐らく洗脳なんですが・・。「彼が手取りこれくらいになれば、家賃がこれくらいで地方に住めば結婚できるな」みたいな。その時は本気で考えてましたね。

それでも、彼に対して「おや?」と思ったことが何回かありましたね。家賃を払ってくれないというのは早めに諦めちゃったんですけど、光熱費は払ってもらおうと思って、彼に請求書を渡していたんです。そうしたら電気は5回、ガスは3回、止められちゃったことがあって、水道は止められはしなかったんですが、督促状が届いて(笑)責任感ぜんぜんない!と思いました。もちろん生活ができなくなるのでその後は私が払うことにしました。

あとは、メジャー時代に提供した楽曲の印税が定期的に入るというのを彼がポロッとこぼしたことがあって、どうも特定のタイミングでまとまったお金をゲットしていたみたいなんです。確かに数ヶ月に一回くらい美容院行ったり服を買っていたりしたので、「お金どこから出てるんだろう?」と思ったんですけど、、私も洗脳されていたので、「人と会う仕事だから、見た目は気をつけなきゃだよね!」とか納得していました。

そんな感じで、とにかくお金がなかったので、彼と一緒に遊びに行くとかもあまりできませんでした。普段は家飲みで、外に飲みに行くのは月に1回あるかないかくらい。ただ、彼は他のバンドマンとはよく行くんですよ。付き合いだからとか言って。彼の中で、私のためにお金を使うという選択肢は無かったんじゃないですかね。一方で私は、バンギャを引退して、働きまくってました。とにかく彼を養うことと貯金を頑張っていたので、誰とも飲みに行ったりはしていませんでした。おしゃれもしないし美容院やショッピングにもいかなかったので、このお付き合いの間で結構貯まりましたよ!(笑)

私へのラブソング: ミュージシャンと付き合うということ

彼は、努力はできないけど才能は本物だったと思います。ある時、私のための曲を作ってくれて、自分のバンドのアルバムに入れてくれました。最初は何か鼻歌を歌っていて、「これ、マリのために作ってるんだよ〜」と言っていて、歌詞がちょっと乗ってきた時とか、サビはできたけどAメロはこれからとか、作曲の途中でも何度も聞かせてくれました。そんな風に隣で作ってくれているところを見ていて、私は当然嬉しかったです。ただ、実際に完成したら、私は逆に嘘くさいなと思ったりしたんですけどね(笑) だって、世に出ていく曲になる頃には、誰向けの曲かはわからなくなるじゃないですか。

あとは、彼が有名人なので、私達の関係を大っぴらにはできなかったですね。SNSで発信したりも制限されますし、ごく一部の信頼できる人を除いて、お互いの友達に紹介するとかもありませんでした。もし彼のファンが私達の関係を知って、スキャンダルみたいな形で知れ渡ってしまうと、彼のミュージシャン生命が絶たれるリスクもありますからね。外では少し距離をとって歩いたり、、手を繋ぐとかももってのほかで。でも、洗脳のお陰かそこまで違和感は無かったです。

ただ、ライブで彼がファンの子の手作りのお菓子をもらって帰ってきたことがあって、それを何も考えずにもぐもぐ食べていたら、めっちゃ怒られました(笑) 「何が入っているかわからないから、こういうのはもらってから捨てるんだ」と言ってました。ファンの子がかわいそうだけど、なるほどなって感じですよね。

辛かった思い出: 彼の浮気と、死ぬ死ぬ詐欺

お付き合いして3年目の時に事件があって、彼の浮気が発覚したんですね。彼はお金がないので、パソコンとかも私のを使ったりしてたんですが、彼がパソコンで仕事のメールのやりとりをしていたタイミングがあったんです。で、彼が出かけたあとに私が続けて使ったら、彼のアカウントでログインしっぱなしになってたんです。それに気付かずにポチポチしちゃって。そうしたら、浮気相手と思われる女性とのやり取りが出てきちゃって、、「今日はやっと会えるね。楽しみ♡」とか。

私はプッツンとキレて、彼の荷物を全部ごみ袋に入れて、家の外に出したんです。それで彼が帰ってきて、「何があったの?なにこれ??」と言うので、「なにしらばっくれとんねん」と問い詰めると、また上手な言い訳を始めるんですよね。この相手はライブハウスのスタッフで、ちょっとストーカー気味になってしまっているので、やんわり付き合っている体で断らないと危ない人なんだとか、この間も帰宅中に待ち伏せされたり、マリのこともネットストーキングしていて、マリに危害が及ばないように、そういう対応をしていたんだよ、とか。

それで私が、「じゃあそこまで危ない相手なんだったら、法的に対応させてよ。」というと、彼は「いや〜、それはやめとこか・・」みたいな反応で。変なんですけど、もうどうでも良くなって許しちゃったんですよね。そんなに必死に嘘ついてまで別れたくないなら良いかって思ったし、確実な証拠もないから彼が言うのも本当かウソかも断定はできないし。なので、もう良いかなと思ってやり過ごしちゃいました。

あと嫌だった事件がもうひとつ。有名なミュージシャンは27歳で死ぬっていう通説があるんです。ある日、彼が薄暗くした部屋の真ん中でぽつんと座っているんですよ。びっくりして「どうしたの?」と聞いたら、「すべてが上手くいかなくて嫌になっちゃった。これといって何かあったわけじゃないんだけど、俺も27歳だし、そろそろ死にたい。」とか言い出して。話をうんうん、と聞いていたら、今度は「俺のバンド仲間が数年前に死んで、そいつが天国から呼んでるんだ」とか言ってきて。私はあきれ返って「じゃあ死んだら良いんじゃないんですかね。私が居るのにどうでも良いんなら死んだら良いじゃないですか。でも事故物件にしたくないから家はやめて。あと電車に飛び込むのもお金かかるからやめて。あと天国じゃなくて地獄に落ちるわね。」と言ったんです。そしたら、めっちゃ怒られました(笑)

おそらく彼は自分に酔っていて、止めてほしかったんですよね。この手の騒動は重いやつから軽いやつまで色々あったんですが、この時が一番めんどう且つ重かったですね。いつもなら「美味しいもの食べてがんばろう」とか、一緒に泣いたり励ましたりしてたんですけど、死にたい理由が意味不明過ぎて冷静になった感じでした。で、しばらくして彼も元気になってきたのですが、その時に「まだ死んでないけど大丈夫?」と聞いたら、また怒られました(笑)

それ以来、お付き合いに生き死にを持ち出してくるのって本当に嫌だなと思うようになりましたね。ただ、お付き合いしている間は、これも彼の個性だと思って受け止めていたと思います。

印象に残っているえっち: 死にかけた首絞めえっち

私は結構耐性があるんで、だいたい相手が望むことはしてあげられるんですよね。私自身の趣味は特に変わったところはないんですけど。。で、彼が好きだったのが、首絞めだったんです。

彼が、どういう風に絞めると意識がなくなるのかというのを私で実験していたことがあって、ちょっと危ない落ち方をしちゃったみたいなんですよね。体感では気を失ってた時間は30分くらいだったんですけど、実際は20秒くらいだったらしいです。意識が戻った瞬間、現実と落ちている感覚がごっちゃになっていました。お化け屋敷で延々と白い人影に襲われている夢を見て、意識が戻った時に自分がどこにいるかわからなくなって、今まで上げたことのない悲鳴を上げちゃいました。「ここどこ?」って。その時に、あ、こうやってちょっと間違えると人って簡単に死んじゃうんだなと思って、ゾッとしましたね。

別れ: 急に醒めたらお金の取り立てを

お付き合いが終わったきっかけは些細なことでした。私は彼と住み始めた頃はバイトを何個も掛け持ちして、そのうちの1つのバイト先で正社員雇用してもらって真面目に仕事をしていたんですね。で、ある日の仕事終わり、スーパーで買物をして食材を両手に下げて帰ってきたんです。で、彼が出迎えてくれたんですが、その時の彼の格好が、今朝出た時のパジャマのカッコのままで、頭もボサボサで、頼んでいた洗い物もそのままで部屋もぐちゃぐちゃ。その瞬間に、全部が冷めました。なんで私はこんなに頑張っているのに、この人ってこんななんだろう。この人といると良くない!と思ったんです。もっと早く気づくべきだったかも、とも(笑)

私は、せっかく私が頑張るなら、一緒に頑張ってくれる人が良いなと思って、ちゃんと働いている人とお付き合いしたいと思うようになりました。あと、好きな人ができないと彼と別れられないと思ったので、意識して他の男性を見るようにしたんですが、たまたまフリーでタイプの人が職場に入社して、好きになれそうだったので、よし、別れようと思いました。

で、彼に別れたいと言ったら、泣いて嫌がりました。でも私は決意硬いから、といったら、彼は次の日になけなしのお金でシルバーのリングを買ってきて、私に「結婚してください」と言ってきたんですね。もう私は色々こみ上げてきちゃって、情けないやら、もう少しちゃんとできるやろとか、それならなんで違う形で愛を表現できなかったのとか・・。しかもサイズあってなかったし(笑)

私は彼に2日あげるから荷物をまとめて出ていってと言って、そしたら1ヶ月ないと無理とかゴネるので、まぁ最後だし良いかとおもって、1ヶ月の約束を取り付けました。で、私はその間もう彼と過ごしたくなかったので、しばらくビジホ暮らしをして、あとで家の鍵を返してもらって、それで彼とのお付き合いは終わりました。

で、別れた時にはっと気付いて、これまで彼に貸したり掛けてたお金、回収しなきゃ!と(笑) 数十万円くらいだったんですが、彼に直接請求したら無視されたので、、彼の実家を訪ねました。そしたらなんと彼の両親が出てきて、「実は息子さんとお付き合いしていてでてかれたんですけど、支払われていないものがあって返して欲しいんです。」と言ったら、彼が今まさに居るので、連れてくると言うんです。でも、そこから2時間も待たされました。

それで、結局彼は出てこなくて、、ご両親も「息子があなたとお付き合いしてたっていう事実確認ができないので、申し訳ないんだけど今日はお帰りください」ということなんですね。2時間も待ったのに…?今思うと彼のご両親もご両親ですよね(笑)この親にしてこの息子ありみたいな。帰り道、最寄りの駅まで歩いている間、私は情けなくて泣けてきちゃって。もちろんお金を返して欲しいっていうのもあったんですけど、本当の目的は、彼がちゃんと私に対して責任を取れるのか確認しに行った感じだったんですよね。どこかでまだ彼のことを信じたくて、でもやっぱり責任を果たさずに逃げちゃうやつだったんだなと、逆の方向に確認ができてしまいました。その後も、全く連絡は来ませんでした。

その後: 彼が失ったもの、得たもの

それからずいぶん後なんですが、彼と一度だけやり取りがありました。別れて数年後、彼のバンドは解散したんですね。SNSでメンバー同士が喧嘩していたのを見たので、多分何かあったんでしょうね。彼はライブもしなくなって、SNSの更新もなくなったので、ミュージシャンやめたのかなと思ってたんですが、また新しい曲が急にアップされているのを見かけたんです。それが良い曲だったのと、最近何してるのかなと思って、ちょっと連絡してみたんです。「あの曲、良かったよ〜」って。

そしたら彼からは、「あの時は本当にすみませんでした。今は大事な人がいるんです。マリさんの時は、手から大事なものがこぼれ落ちてしまったんですけど、今度はちゃんと握っていられるようにがんばります。またどこかでお話しましょうね。」という、メッセージが返ってきました。彼はちゃんと仕事をして収入を得ながら、音楽も頑張っている様子でした。

彼とのお付き合いで失ったものは色々ありますが、恐らく彼はそれ以上に失ったんじゃないかなと思います。私のときには責任も取れなくてバンドもうまくいかなくて、金銭トラブルを抱えたり。そういうものがどんどん自分に返ってきて、身にしみたんじゃないかな。今度は幸せになってね、と心から思います。

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